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箸(上は箸、下は箸置き)

(はし)は、東アジア地域を中心に広く用いられる食器道具の一種で、二本一対になった棒状のものを片手で持ち、ものを挟んで移動させるために用いる。多くの場合、などの器にある料理を掴んで別の皿や自分の口に持って行くために用いられ、食器の一種に位置づけられる。材質には各種の金属プラスチック象牙等があり、中を傷つけないように表面を丁寧に削るか、合成樹脂などでコーティングしてある。

現代日本では食事中に食べ物を移動する目的で使用する食器として、フォークスプーンなどと並んで非常に広く用いられる。また、最近では宇宙飛行士宇宙での食事の際に食べ物をしっかりと持つことができるので活用されている。

目次

主な特徴

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会席膳に載せられた箸と箸置き(首相主催の晩餐会にて)

箸は、材質や形状などに様々なバリエーションがあるが、同じ長さの2本の棒状のものが1組になっている点はほぼ全ての箸に共通している。多くの場合、模様や装飾の類も左右対称または合わせて一つの模様になるよう2本に同じ物が施されている。

また、箸には通常「先」がある。基本的に棒のどちらか一端のみが食べ物に接触することが前提となっている。これは棒の一端が細くなっていること、装飾などがないこと、などによって見分けられる。

各国の箸

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上から、台湾・中国・チベット・インドシナ(ベトナム)・朝鮮半島・日本夫婦箸・日本の子供用箸・日本の割り箸

世界の約3割の人が、箸で食事をしているとの統計もある。[要出典]

現在、日本中国台湾シンガポールベトナムタイラオスカンボジアモンゴル韓国北朝鮮などの国と地区で日常的に使われている。このうちタイとカンボジアとラオスでは、汁に入った麺類を食べるときだけ箸とレンゲを使い、他の料理にはスプーンとフォークを用いる。日本料理中華料理の世界的な普及により、欧米諸国でも、箸を使える人は少なくない。

日本

日本において、食事に用いられる箸の典型は、短い木に漆・合成樹脂を塗ったもので、塗り箸と呼ばれる。漆を塗り重ねた箸には独特の光沢があり慶事などに用いられる。一方、木目の美しさを出すために表面に漆などによる塗りを施さない箸もある。日本の箸は、片方のみ、先が細くなっているものが多い(例外として、祝箸は両端ともに端に向かって細くなっている。また、塗りを施していない箸には木目の美しさを強調するために後端を片面に向かって鋭角に切り落とす「天削げ」と呼ばれる加工を施したものがあり、近年では塗り箸にも装飾のために天削げの加工を施したものがある)。日本の箸の先が細くなっているのは、付きのを食べる際、骨と身をより分けやすくするためである。日本の箸は、塗り箸など木製が古来から主流であり、次いで竹製が使われる。現代では子供用や一部の食堂などでプラスチック製もよく使われる

また、割れ目の入った細長い木片または竹片を縦に2つに割ることで箸になる割り箸もある。これは使い捨て用の安価な箸として、店舗などで販売される弁当や一部の食堂などで提供される。以前は材木として役に立たない木片や間伐材を使っていたが、近年の需要の伸びから森林の乱伐につながり、問題視されている。そのためもあり、またゴミ削減のため、ここ数年で割り箸を使う飲食店は激減した。

調理専用の箸は、菜箸や鉄箸といい、食事用の箸より長く、約30cmから40cmの長さがある。

中国

中国のものはやや長く、先もその反対側も若干細くなっているが、日本の箸に比べてそれほど細くはなっていない。円柱型や四角柱型が多く、また四角形型のものも、食べ物を挟む部分はたいてい円柱型をしている。最も高級なものは象牙を用いるが、普通は竹や木を用いる。またプラスチック製の箸を用いるところもある。現在は日本の割り箸を中国で製造してきた影響から、現地でも割り箸が広まってきているが黒竜江省など中国東北部白樺など森林資源の乱伐が懸念されている[1]

朝鮮半島

朝鮮半島では金属製の箸が使用される。現在はステンレス製が主である。韓国では、かつては割り箸などもあったが1993年以降使い捨て用品が法律で規制されたため金属箸が定着した側面もある。箸に向く木材資源が少なかった事と祭祀器としての側面から王族や両班など支配階級を中心になどの金属食器が利用されてきた名残である。硫黄砒素と反応し変色するため、暗殺を未然に防ぐ効果もあった。なお戦後、欧米の真似をして庶民にも金属製食器が広まったとの説もある。

歴史

5000年前の中国で、煮えたぎったから食べ物を取り出すのに2本の木の枝を使ったのが箸の始まりと言われている。[要出典]

史記によると、帝辛象牙の箸を使用したという逸話がある。 また、箸は元々、の棒の中央部分を加熱して曲げて作ったトングに由来する、ともされる。

その後孔子が、「君子厨房に近寄らず」(君子遠庖廚)の格言に基づき、厨房と畜場でしか使わない刃物の、食卓上での使用に反対した。そして料理はあらかじめ厨房でひと口大に、箸にとりやすい大きさに切りそろえられ、食卓に出されるようになったので、箸が普及していったと言われる。西洋料理の食卓でフォーク・スプーンとともにナイフが使用されることとは対照的である。

中国文化が周辺地域に影響力を及ぼすと共に(周辺地域の民族が外交的に中国・漢民族から野蛮人と見られたくないこともあって)、他の国でも使われるようになっていった。

日本では、弥生時代末期の遺跡から1本の竹を折り曲げピンセット状の形にした「折箸」が発見されているが、祭祀・儀式用の祭器として使われたものであろうと言われる。2本で1膳の「唐箸」を食事に使い始めたのは、5世紀頃とも、6世紀中頃に百済から伝来してからとも、7世紀はじめの聖徳太子遣隋使の頃からとも言われるが定かではない。古い時代の箸が発見されにくいのは、木や竹でできた箸は腐りやすく、また単なる木切れか箸かの区別もしにくいためと考えられる。

使用法

箸は通常、他の食器と共に食卓の上におかれる。

箸置き」と呼ばれる箸の先をもたせかけるための小物の上に置くこともあり、レストランなどではナプキンの上に置く場合もある。

食事中は利き手に持つ。1本を鉛筆を持つ要領で持ち(親指・人差指・中指で抓んだ状態)、もう1本を中指と薬指の間に挟む(主に親指の付け根と薬指の先の2点で固定する)と、伝統的で正しいとされている箸の持ち方になる。親指・人差指・中指で持っている方を動かし、薬指で支えている方は動かさない。

伝統的で正しいとされている持ち方をした場合、2本が2 - 3cmの隙間を隔てたまま平行に出来、掌側の箸同士は常に間隔が空いた状態となる。また、2本を大きく開かない限りは接触しない。伝統的で正しいとされている持ち方が出来ているかどうかは、鶏の卵を掴み、垂直に持ち上げられるかどうかや、大のものを掴んだ際、2本が平行に近い形となっているかでも概ね判断できる。

なお、箸を使う国の中で、箸のみを使って食事をする作法が確立されているのは日本だけといわれる。和食では椀に直接口をつけて汁を飲むことが許容されているため汁物を箸だけで食べるが、中華料理では汁物を食べる際にレンゲを使用し、韓国料理ではごはんには匙を、おかず等副菜をつまんだり麺類を食べる時に箸を使うのが一般的である。

マナーの悪い箸の使い方のことを嫌い箸と言うが、これらのマナーもまた、箸を使う国によって異なるようである(英語版参照)。

日本では箸を使用しない間、箸を「箸箱」と呼ばれる細長く上にの付いた小型のに保管する人が多い。箸を持ち運ぶ際に箸箱に入れておくこともある。

古来から日本の家庭の箸の使い方で特徴的なのは、属人器であり、各人の専用の箸(茶碗も)が家庭内で定められていることである。これは中国の多くの地域(漢族の地域など)や朝鮮半島などでは行なわれないことである。ただし、日本においても全ての家庭で行なわれているわけではない。

また、オロチョンなど北東アジア北部の一部の狩猟民族には、民族衣装を着た際、ナイフとともに獣骨で作った箸をの脇に差して携える習慣がある。

食事以外での用法

火鉢を取り扱う時の金属製の箸を火箸(ひばし)と言う。

また日本で箸は、火葬された遺骨を骨壷に移すときにも使われる。 そのときの骨箸(コツバシ)は、それぞれ長さの違う竹と木でできた特別なものを用い、参列者同士で遺骨を箸から箸へ受け渡す。日本で長さや材質など仕様が異なる箸を組み合わせて使ってはいけない、また箸から他の箸へ料理を渡してはいけないというマナーは、このことを連想させるために生まれたと言われる。

慣用表現

  • 箸が転んでも可笑しい年頃
  • 箸が進む(食が進む)
  • 箸が端
  • 箸にも棒にも掛からない
  • 箸の上げ下ろし
  • 箸より重いものを持たない
  • 箸を付ける
  • 箸を取る(食事する)
  • 塗箸で芋を盛る

文献

  • 阿部正路『箸のはなし はしと食の文化誌』ほるぷ出版、1993年7月、ISBN 4593534267
  • 一色八郎『箸』(カラーブックス)、保育社、1991年11月、ISBN 4586508167
  • 一色八郎『箸の文化史 世界の箸・日本の箸』御茶の水書房、1990年12月、ISBN 4275014065 / 改訂版: 1993年1月、ISBN 427501491X / 新装版: 1998年8月、ISBN 4275017315
  • 一色八郎『日本人はなぜ箸を使うか』大月書店、1987年11月、ISBN 4272600265
  • 江頭マサエ『箸のおはなし』JDC、1987年12月、ISBN 4890080619
  • 小倉朋子(監修)『箸づかいに自信がつく本 美しい箸作法は和の心』リヨン社、2006年1月、ISBN 4576052217
  • 高橋隆太『究極のお箸』三省堂、2003年12月、ISBN 4385361924
  • 向井由紀子・橋本慶子(共著)『箸 ものと人間の文化史』法政大学出版局、2001年11月、ISBN 4588210211
  • 湯川順浩『ワリバシ讃歌 資源ムダづかい論を切る!』都市文化社、1990年6月、ISBN 492472016X
  • Ying Chang Compestine, Yongsheng Xuan, The Story of Chopsticks, Holiday House, 1st Sep 2001

脚注

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外部リンク