外国人嫌悪

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(外国人恐怖症 から転送)

外国人嫌悪(がいこくじんけんお)および外国人恐怖症(がいこくじんきょうふしょう)は、外国人異民族などのアウトサイダーと見られている人や集団を嫌悪、排斥あるいは憎悪する気質を指す「きわめてあいまいな心理学的概念」[1]xenophobia(クセノフォビア、ゼノフォビア)の訳語で、「外国人嫌い」などと訳される場合もある。クセノフォビアとは、ギリシア語の"ξένος" (xenos, 異人、異国、よそ者、外国人)と"φόβος"(phobos, ポボス恐怖)に由来する。

あらゆる国、民族に存在し、かつてこれが行きすぎたために反ユダヤ主義ホロコーストなどに代表される大量虐殺が行われた事例も数多くある。

目次

日本における外国人嫌悪

日本の外国人」、「外国人犯罪」、および「日本の民族問題」も参照

日本は、人口の98.5%を日本人が占めるため、しばしば「国民の大部分が日本民族により構成される単一民族国家である」と主張され、また居住者の99%以上は日本語母語とする。また、外国人居住者の多くは地理的距離が日本に近く、肌の色がほぼ同じである朝鮮人中国人などである。このような社会的均一性が、日本における外国人恐怖症の背景となる。

また、江戸時代において鎖国が約250年も続いた為、外国人や異民族との係わり合いを経験することは極めて少なく、極端な場合には会話さえ難しいこともあり、「外国人恐怖症」の原因となっているとする主張がある。それに対し、日本が島国であるということから思いついた単純な決め付けであり、江戸末期における開国以降の長い歴史を考慮に入れない偏見である、との反対意見もある。

  • 日本人の場合、この感情は国籍よりも人種民族により強く向けられる傾向があると主張され、以下の理由が示されている。
    • たとえ相手が日本国籍を持ち、日本語を話せたとしても、顔つきが外人っぽいというだけで気後れすることがあり、外人と見るや、相手のバックボーンが分からなくても外国語(主として英語)で話し掛ける傾向。
    • 他人と同じ行動を取ることで安心感を得る為、個性の強い人を忌避する傾向。
    • 外人という言葉は、もっぱら白人ないし黒人に向けられるため、日本で生まれ育った白人や黒人、あるいはハーフであっても外人と見る人さえいる傾向。
    • そのような子供に対し、外人だからという理由でいじめが行われるケースがあるとする。

特定の対象に対するもの

日本人による外国人嫌悪の対象は一般に欧米人アフリカ人、中東人などが中心であるが、特定の人種・民族や集団に対する例には以下のようなものがある。

嫌韓」および「嫌中」を参照

その他の事例

近年では、世界各国からの留学や研修、不法あるいは合法就労などの為、日本で生活する人が増えている。そのような人たちとの間で何らかのトラブルや犯罪行為(外国人犯罪参照)が発生した場合、嫌悪の感情が外国人全体に向けられてしまう場合がある。また、米国同時多発テロ以降、イスラム教徒に対して偏見が向けられることもある。

日系人

近年、日系外国人を中心として、産業の下部構造とりわけ3K労働に追いやられている点も、第三世界に対する侮蔑の原因の一端にも成っていると一部では主張されている。第三世界からの労働者の多くは、派遣社員という形の就労形態であり、正規雇用されることが稀であり、そのことが臨時雇い、間に合わせ、という先入観を持つ一因となっている。現在は、日本人でも派遣社員とされるものが多く、これを持って単純に外国人を嫌悪しているとは言い切れないため、日本人に対する逆差別との反論もある[要出典]

外国人旅行者に対する態度

2008年10月9日、総務省が同年4月から5月に全国のホテルや旅館1万6113の宿泊施設を対象に郵送でアンケートを実施した結果(7068施設が回答、回答率43.9%)、37.8%が「2007年に外国人の宿泊がなかった」(別の報道では、37.8%が「外国人旅行者を受け入れていない」)と回答、そのうち客室30室未満の小規模施設の72.3%、客室100室以上の大規模施設の44.2%が、「今後も受け入れたくない」と回答している。受け入れたくない理由(複数回答)は、「外国語対応ができない」が75.7%で最多、その他、「施設が外国人旅行者向きでない」の71.8%、「問題が発生したときの対応に不安がある」の63.4%、「精算方法に不安」の22.2%などが続いた。日本国政府は2010年までに外国人観光客1000万人の誘致を目指し、2008年10月1日には観光庁を発足させた。アンケートの結果を受け、総務省は「国が主導して受け入れやすい環境を整える必要がある」としている[2][3][4][5]

一方でJNTOの「訪日外国人旅行者満足度調査」(平成17年)によると、訪日外国人旅行者の94%が再訪日を希望しており、欧米諸国からの旅行者の5割、「台湾、中国、香港」からの旅行者の3割近くが「日本の人々が親切で礼儀正しい」ことを理由にあげている。

政策に関連して

以下のような議論には、日本人の外国人嫌悪が一定程度関係するかもしれない[6]

日本は難民条約を批准しているものの、難民認定数は年間数十人程度である。2005年1月18日にはトルコから逃れ、国際連合難民高等弁務官事務所が難民と認めたクルド人を、難民とは認められないとして強制送還した例がある。これは日本とトルコが友好関係にあることが影響しているものと思われる。なお、日本は山や森林が多く、居住可能な地域が欧米に比べて少ない点も考慮する必要がある。

現状は、就労ビザではなく観光ビザで入国し、期限切れを無視して日本に残留し(不法残留)そのまま不法就労する者、また彼らを扱うブローカー、闇ビジネスが存在しており、彼らは更に苛酷な条件で、中小企業中心に働かせられているとも言われる。ただし、不法就労はそもそも違法行為なので、「彼らを一概に被害者のように扱うべきではない」と主張する向きもある。法務省は不法就労の摘発に力を入れ、通報を受け付けているが[7]、これについても片や「外国人への偏見を生む排外主義」、片や「犯罪者なのだから当然、速やかに追放せよ」と真っ向から対立する。

文化的な嫌悪

自国文化に対する正当な理解、矜持が無いために、他国人を侮辱することで優越感を得ようとする卑劣な側面も否定できないともされる。また、外来語を使わないようにするなどの自国語を守る運動を否定する側面もある。また、食文化に対する文化の相違などから、特定の民族に対して相手の文化を侮辱するような侮蔑語が使われるような場合もある。これは世界共通である。

脚注

  1. ^ E.エリス・キャッシュモア『世界差別問題事典』明石書店、287頁。
  2. ^ "外国人旅行者:ホテル・旅館4割、泊めません 「外国語対応できない」--総務省調査". 毎日新聞社. 2008年10月12日 閲覧。
  3. ^ "7割が外国人旅行者苦手/利用なかった宿泊業者". 四国新聞社. 2008年10月12日 閲覧。
  4. ^ "「外国人泊めたくない」ホテル・旅館3割 07年国調査". 朝日新聞社. 2008年10月12日 閲覧。
  5. ^ "外国人旅行者の宿泊「ない」旅館・ホテル37%…07年". 読売新聞社. 2008年10月12日 閲覧。
  6. ^ 「壁の涙」製作実行委員会『壁の涙 法務省「外国人収容所」の実態』現代企画室 2007年3月 ISBN 978-4-7738-0703-5
  7. ^ 入国管理局-情報受付-

関連項目

外部リンク