ラテンアメリカ

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ラテンアメリカに分類される領域(緑色) 北からユカタン半島の東岸に位置するベリーズ、ベリーズの東に浮かぶジャマイカベネズエラの北東部にある島国トリニダード・トバゴブラジルベネズエラに接するガイアナ、ガイアナの東にあるスリナムなどを含めない。公用語が英語(ガイアナ、ジャマイカ、トリニダード・トバゴ、ベリーズ)、オランダ語(スリナム)、フランス語(フランス領ギアナ)だからである。

ラテンアメリカ(英語:Latin America)は、アングロアメリカに相対する語であり、メキシコ西インド諸島以南の中央アメリカ南アメリカの国々の中で、ラテン系植民地だったことからスペイン語もしくはポルトガル語を公用語とする国をさす。現在、ラテンアメリカの大多数の国々が米州機構(OAS)加盟国であり、プエルトリコドミニカ国以外はラテンアメリカ経済機構に加盟している。

中央アメリカと南アメリカの総称として中南米(ちゅうなんべい)とも呼ばれるが、後述するように多少ニュアンスが異なる。

目次

呼称としての「中南米」と「ラテンアメリカ」

中南米という語は地理学的な呼称、北米に対する概念であり、アングロアメリカに対するラテンアメリカという語は文化圏としての意味合いで使われることが多いが、一般的な使われ方はきわめて曖昧である。これは、アメリカ州においてスペインポルトガル植民地としていた地域と、地理学的な中南米がほぼ重なるためである。ただし、メキシコは地理学的には北米に属する。

「ラテンアメリカ」の語の由来

スペイン語圏のアメリカ諸国は元々、スペイン植民地時代は「インディアス」(インドの意)、独立後は「イスパノアメリカ」(スペイン的なアメリカ)と呼ばれていたが、19世紀のイスパノアメリカの知識人は、スペインを遅れた後進的な国家だと考え、自国をイギリスやフランスのような先進国にすることを望んでいたため、彼らにとって「スペインのアメリカ」という呼ばれ方は屈辱的なものだった。そんな中で、フランス第二帝政の皇帝ナポレオン3世が1860年代にメキシコへ出兵し、第二次メキシコ帝国を打ち建てるに際して、フランス当局はメキシコとの文化的な繋がりを強調するため、「ラテンアメリカ」(ラテン的なアメリカ)という言葉を用いた。当時はラテンというと、即座にローマ帝国やフランスの文化に繋がったため、イスパノアメリカの知識人はこの名称を受け入れ、以後ブラジルを加えたこの地域をラテンアメリカと呼ぶようになった。つまり、この言葉は当初、植民地主義から始まった言葉だったのである。

「ラテンアメリカ」として括られる国々

メキシコ以南の大陸に存在する国々は、ポルトガル語を公用語とするブラジル英語を公用語とするガイアナベリーズオランダ語を公用語とするスリナムフランス語を公用語とするハイティフランス領ギアナ(現在もフランスの海外県である)を除き、18カ国がスペイン語を公用語としている。これに対して、カリブ諸国は旧宗主国が多様でスペインの独占性が薄かったので、現在の公用語も多様である。このため、カリブ海の島々にあってスペイン語以外を公用語とする地域、例えば旧英領西インド諸島(British West Indies)のジャマイカバハマなどは「ラテンアメリカ」とは呼ばない。 小アンティル諸島のなかの10カ国で英語が話される。それらを合わせた33カ国をラテンアメリカと呼ぶが、正確を期するための「ラテンアメリカとカリブ海」という表現が取られることがある。他方、原住民言語を話す住民もいる。例えば、メキシコやグアテマラには、ナワ、オトミ、マヤなどの言語、さらにアンデス地域にはケチャア、アイマラ、マプーチェなどの言語を話す数百万の人々がいる。[1] また、ラテンという語の原義からすれば、フランス語圏(フランス領ギアナだけでなく、ハイチやカリブ海のフランス領、北米にも広がっている)も含まれるはずであるが、もっぱらスペイン語圏、ポルトガル語圏のみが範囲とされている。

ラテン音楽

ただし、音楽の分野においては、英語圏、オランダ語圏、フランス語圏などを含めて、これらの地域の音楽が漠然と「ラテン音楽」と呼ばれることがある。この範疇に入るものは、例えば、トリニダード島発祥のカリプソソカジャマイカスカレゲエなどであり、フランス語圏であるハイチの音楽であるメラング(ドミニカ音楽のメレンゲをフランス語読みしたもの)に至っては、ほぼ間違いなくラテン音楽の範疇に分類される。

イベロアメリカ

一方、スペインとポルトガルの旧植民地諸国と、旧宗主国であるスペインとポルトガルを合わせて「イベロアメリカ」(Ibero-America)ともいうが、このイベロというのはスペイン、ポルトガルがイベリア半島にあることから来ている(イベロアメリカ首脳会議はイベロアメリカ諸国の持ち回りで開催されている)。

メソアメリカ

メソアメリカは、メキシコ北部からホンドゥラスエルサルバドルあたりまで、アステカマヤなどの古代文明が栄えた地域を言う。

ラテンアメリカ諸国

33カ国
中央(中部)アメリカ諸国
  1. メキシコ
  2. ベリーズ
  3. エルサルバドル
  4. グアテマラ
  5. ホンジュラス
  6. コスタリカ
  7. ニカラグア
  8. パナマ
カリブ海諸国
  1. キューバ
  2. ドミニカ共和国
  3. ハイチ
  4. プエルトリコ
  5. バハマ
  6. ジャマイカ
  7. セントクリストファー・ネイビス
  8. アンティグア・バーブーダ
  9. ドミニカ
  10. セント・ルシア
  11. バルバドス
  12. グレナダ
  13. トリニダード・トバゴ
南アメリカ諸国
  1. ベネズエラ
  2. コロンビア
  3. エクアドル
  4. ペルー
  5. ボリビア
  6. チリ
  7. パラグアイ
  8. アルゼンチン
  9. ウルグアイ
  10. ブラジル
  11. ガイアナ
  12. スリナム

脚注

  1. ^ 増田義郎「世界史のなかのラテン・アメリカ」(増田義郎・山田睦男編『新版世界各国史25 ラテン・アメリカ史Ⅰ』山川出版社 1999年)

関連項目

参考文献

  • 増田義郎・山田睦男編『新版世界各国史25 ラテン・アメリカ史Ⅰ』山川出版社 1999年 ISBN 4-634-41550-X
  • 増田義郎編『新版世界各国史26 ラテン・アメリカ史Ⅱ』山川出版社 2000年 ISBN 4-634-41530-7